第24章 連携
フィッツジェラルドの前に座るよう促され、その通りに動く紬。
「お互い積もる話もあるけれど、生憎時間がなくてね」
ヘラっと笑って見せる紬に、フン、と息を吐いて新聞を閉じるフィッツジェラルド。
「ここに来た理由は判っている。ーーー『神の目』だな」
そのタイミングでオルコットが珈琲とお茶請けを出す。
「そこまで判っているなら話は早い。その『神の目』で居場所を特定したい人物が居る」
「誰だ」
「フョードル・ドストエフスキー」
「……《鼠》か」
フィッツジェラルドは、珈琲を口に運びながら呟いた。
「今、我々は奴の張った罠に嵌ってしまっていてね」
「街中が騒がしいと思ったらそう云うことか」
「どうか力を貸していただけないだろうか」
「……。」
紬の言葉にフィッツジェラルドは少し考え込んだ様子であった。
「抑、我々は敵対同士だ。力を貸す理由がない」
「それもそうだ。では、取引というのは?」
「それに応じるとでも?」
ジロリと見てきたフィッツジェラルドに紬はフフッと返す。
「抑、この会社が君の手に渡った切掛を作ったのは我々、探偵社員のお陰では?」
「……そうきたか」
紬の返しに、フィッツジェラルドも強気の姿勢を崩し始めた。
この会社を買収するに当たって、武装探偵社の社員ーーー江戸川乱歩の推理が一役買っていたのだ。
其処を突かれては、フィッツジェラルドも黙るしか無いだろう、と何故か探偵社ではない紬は事のあらましを把握していた。
ポートマフィアにおいても『神の目』は魅力的なものであった。故に、下調べしていたのであろう。
「取引に応じる気になったかい?」
紬はニコニコしながら云った。
その顔に対して嫌そうな顔をしつつも、フィッツジェラルドは両手を軽く挙げて降参のポーズを取った。
「取引に応じよう」
「うふふ。そうこなくちゃ。それで?『神の目』を使う条件は?」
「そうだな…、」
顎に手を当てて考え込むフィッツジェラルド。
「《鼠》の奴に掠め取られた組合の金がある。それの在り処を暴け」
「成程、それで手を打とう」
紬がそう云うと、フィッツジェラルドは立ち上がった。そして、3人で部屋を退出していったのだった。