第24章 連携
警備会社ーーー「マナセット・セキュリティ」
会社の前に黒塗りの車が一台停車した。
降りてきたのは、砂色のコートを纏った長身の男ーーー太宰治……に扮した紬だった。
紬が黒服に礼を述べると、黒服は一礼してその場を走り去っていった。
「却説、と」
紬は、太宰の声音でそう呟くと、笑顔を作り、中へと這入っていった。
来客に気付き、受付嬢がにこやかに挨拶してくるのに応じる紬。
「先程、お電話致しました太宰というものですが」
「お話は伺っております。少々お待ち下さいませ」
全くーーー治が来ていたらちょっかい掛けていただろうな。
満面の笑み…だけでなく、先程の看護師と同じように、顔を赤らめて答えた受付嬢の反応に、内心毒づきながらも指示通りに待つ紬。暫くすると、一人の社員と思われる女性が、出迎えに来た。
「あっ、あの、此方にどうぞッ……」
「態々、お出迎え有難うございます」
確か彼女は組合の作戦参謀じゃなかったかな。
迎えに来たのは、組合所属のルイーザ・メイ・オルコットだった。
考えを読まれて、試されているーーー?否……
等と考えを巡らせる紬だが、
「し、少々お待ち下さいッ。間もなくエレベーターが到着します!」
彼の近くに偶々いただけのようだな。
此方を見ながら、アワアワしている彼女を見て、そう結論付けた紬であった。
エレベーターが目的の階に到着する。
「フィッツジェラルド様、お連れしました」
「這入ってくれ」
そう返答があると、オルコットは扉を開けて、紬を通した。
「久しいな、探偵屋」
新聞を広げながら、顔をこちらに向けたフィッツジェラルドは機嫌が良さそうな声音で話しかけてきたのだった。