第23章 始動
「となると、其方の社長も、」
「動くだろうねえ」
そう云った直後、先程とは違う電子音が鳴る。
太宰は枕元に置いていた通信端末を操作し、応答した。
『太宰さん!!社長がッ、社長が居なくなりましたッ!!』
探偵社員である谷崎からの通信。焦りからか、盛大に報告するため、その声は紬の耳にも届いた。
「……矢張り、か」
ポツリ、と呟いた紬は自身の端末を操作し、何かを調べ始める。
一方で、焦り声の谷崎を太宰が宥める。
「取り敢えず落ち着き給え、谷崎君。社長はマフィアに拐かされたわけではないのだろう?」
『……はい。敵に見つかる前にモンゴメリさんの異能空間で保護していましたから……自ら出ていったとしか……』
「そう。マフィアもこの戦闘での被害は大きい、直ぐには社長が不在とは気付かない筈だ」
『今の内に探します!また一時間後に連絡します!』
「判った。気を付け給え」
ピッ、と通信を切ると、太宰は紬の方を向いた。
「……場所の特定、できると思うかい?」
「時間が在れば出来ないことも無いだろうけど……厳しいね」
何かを考えている紬だったが、端末の操作を止め、ポケットに仕舞い、首を横に振る。
「私達と知り合う前からの旧知の仲だろうし、其方の社長は兎も角、森さんだよ?痕跡をそう易易と残しているとは思えない」
「だよねぇ」
太宰は窓の外を眺めた。
「次の通信まで待とうか」
その言葉に、紬もコクリと頷いた。