第23章 始動
「探偵社が奇襲を仕掛けてきた時のために、姐さんは首領の護衛を。ーーーその方が無意味な戦闘も停められるでしょう」
「判った。して、紬は」
「私は次の、黒幕を叩く算段を」
紬の言葉に一つ頷くと、紅葉も紬もその場を離れたのだった。
「騒がしくなってきたねぇ…」
紬は、大きなバックを一つ抱えて、言葉通りに騒がしくなってきたポートマフィアの本部を抜けて、眼の前の車に乗り込んだ。
「○○病院まで頼むよ」
紬の命令に、はっ、と短く答えた黒服は車を告げられた目的地へと走らせた。
約一時間後、森鷗外の部屋ーーー
「赦せ 童」
紬の予想通りに現れた、首領を暗殺すべく現れた探偵社社員ーーー谷崎潤一郎の胸を金色夜叉が貫いたのだった。
「その男が死ねば私が忌む昔のマフィアに逆戻りするでのう」
谷崎は刺されてもなお、手に小刀を握り、『細雪』を展開した。
「姿を消すか。姿は見えずとも恐るべき殺気よ。鏡花の同僚を斬るのは気が引けるが……」
『金色夜叉』が空間を埋めつくすほどの斬撃を繰り出す。谷崎に逃げ場がない、その時だった。
ガコン、という音と共に、天井の通気口が開くと同時に
「!」
今しがた紅葉の口から出てきた人物ーーー泉鏡花が舞い降り、
「鏡花……!」
『夜叉白雪』が『金色夜叉』の斬撃を受け止めた。
「この建物は昔の庭 裏口も潜入経路も頭に入ってる」
そう云うと同時だった。
「「紅葉様!御無事ですか!」」
複数の黒服達が武装を決め込み、部屋に侵入してきた。
鏡花は谷崎を回収すると壁を『夜叉白雪』で破壊し、逃走する。
その背後から、黒服たちが発砲する。
「止めよ!鏡花に中る!」
紅葉はすぐに命を飛ばし、地上へと姿を消していく鏡花の姿を悲しそうな目で見送った。
紬の云った通りじゃな……
そう思ったのと同時に、ピリリリリ、と紅葉の通信機が着信を告げた。