第23章 始動
「糞ったれ、2日だと?」
怒りを顕にした中也は持っていた紙をグシャと握りつぶしながら吠えた。
「探偵社とマフィアを潰し合わせる奸計か」
「……姐さん」
首領が瀕死の重傷を負わされたーーー。
中也が激高するのも無理のない話だ。そんな中也をちらりと見る紅葉。
「探偵社と闘る気か?黒幕の思う壺になるぞ」
「黒幕はブッ潰します。それでも二日じゃ時間が足りない」
中也は意を決したように、再度、拳に力を込めた。
「……やるしかねぇ」
そう呟いたときだった。
紅葉が背後の気配に気付き、振り返った。
「やれやれ…面倒な事になったようだねぇ」
「紬」
「手前ェ、こんな大事な時に何処に行ってやがった!?」
中也が振り向き様に、紬の胸倉を掴む。
「現状把握と情報確認。それ以外に何がある?」
何時もと変わらずに落ち着いた紬の様子に、チッと舌打ちすると同時に紬を開放する。
「して、紬。どう動く」
「情報が少な過ぎます。相手はあの魔人だ。出回っている情報の半分以上がダミーと考えて良い」
「だったら尚の事、向こうの社長を殺るしかねェだろ!!」
珍しく本気で頭に血が上っている中也の姿に、紬は小さく息を吐いた。
「…私は情報収集に中るから、中也は思うがまま動き給え」
「そうさせてもらう」
ガタッと音を立てて立ち上がると、中也は部屋を去っていった。
「……行かせて良かったのかえ?」
紅葉が心配そうに紬の方を向く。
「相手も莫迦じゃありませんから、正面から中也達と殺り合うとは考えられません」
「そうなると、奇襲か」
「否、此方が動かなければ何も起こりません。然し、動くでしょうね、この様子だと……向こうも」
紬は今度はあからさまにハァ、と息を吐いた。
「姐さんはどうします?」
「森殿が不在の今、このポートマフィアを担うのは其方じゃ。私は紬の意に従うまでよ」
「……うーん、そうなるとーーー」
その言葉を聞いて、紬は少し考える仕草を見せた。