第19章 望み叶えタマエ
「あれ?ここって……」
「最初に来たとこだな。」
「あらぁ……?」
障子くんに連れてきてもらった薬局……というか雑貨屋さんは、なんと最初にみんなで集まっていたところのすぐ側だった。
「早く買うといい。」
「うす。」
障子くんは隣のお店を見るらしい。
お店の中に入ると、周りの空気がオシャレで、ちょっとたじろいだ。でも、今日は私もオシャレ頑張ったからと自分に言い聞かせる。
えっと、何を買うんだっけ。
そう、日焼け止め…を2つと…。そうだな…そうだ!リップクリーム買おう!女子っぽい!
お買い物をすると人はテンションが上がるらしくて、私のテンションもちょっとずつ上がってきた。
揚々とレジに向かい、購入する。
そして、ホクホクとした気持ちで店から外に出た。
みんなで集まる場所から本当に近いな。なんでわかんなかったんだろう……。
あれ?
みんなで集まっていたところに、出久くんがまだいる。
ちょっぴり、様子がおかしい……気がする。
ちょっと気になって少し小走りでそこに向かう。買い物袋がかさかさといっている。なんだかそのかさかさが不安を募らせて、だんだん歩く速度も速くなる。
「出久くん!!」
「ひ…よこ…ちゃん…!」
「あぁ?」
出久くんのところに辿り着くと彼は、なんだかシラナイヒトと話していた。
ソノヒト、出久くんの首を指で掴んでいる。
「なに、してるんですか…?」
「……」
「はなして…くれません?」
ソノヒトはその状態のままギロリとこちらを睨む。
その瞳は、ドロドロと赤くて、
でも、さっきの人とはちがってて、
怖くて、胸が痛い。
「あぁ悪い悪い!連れがいたのか!」
「…っゲボゲボッ!」
「出久くん!!」
「じゃあ俺、帰るわ。」
カレは人のいい笑顔を顔の表面に浮かべると、出久くんの首から指を外し、立ち上がった。
出久くんが苦しそうに噎せている。
そして、彼はここを立ち去ろうとしている。
ジジッ
ひよ_って__のよ。
いつ__どこかで出__たら___
ダメだ。
彼を独りにしちゃダメだ。
何故だか本能的にそう思う。
そして私は、彼の去っていこうとする袖をグッと引いてしまっていた。
「あ、あの!少し、待ってください!」
そしてこれが、私とカレ“死柄木弔”との出会いだ。