第19章 望み叶えタマエ
「大丈夫か?偶然通りかかったから良かったものの、通りかからなかったらどうなってたか。」
「へ…へいき、です。ごめんなさい…」
「知らない人に着いて行ったらダメだって学校でおそわらなかったか?」
障子くんが来ると、そのシラナイヒトはどこかへ去っていった。それで今、障子くんに説教されている。沢山ある腕の圧がすごい。
「知らない奴にふらふら着いていくな。」
「はい……。」
「危険な奴かも知れないんだぞ。」
「すみませんでした……。」
とくとくと説教をされ、シュンとしながら話を聞く。腕を全部腰に当てて、まったく此奴は…のポーズだ。
「あれですか…?海外に売り飛ばされるんですか…?」
「え…いや……まぁ、そんなのもあるか……。」
「ひえっ…。命の危機だったんですね……。」
「や……まぁそうかもな。」
「障子くんは命の恩人なんですね…。」
感謝永遠にだぁ……と頑張って笑ってみる。
だんだん恐怖も増えてきた。私、死ぬかもしれなかったんだ。それなのに、動けなくて…。
それでも、さっきまで盛り上がってた気持ちがスンと冷たくなって、下を向く。
「まぁ、そんなに落ち込むな。綺麗な格好してるんだから前向いとけ。」
「…うぇ……」
「泣いてるのか?」
「泣いて…泣いてないす!…すみませんでした……。せっかくみんなで遊びに来たんだもん。楽しいもん。」
「…そうか。」
障子くんの優しさや自分の不甲斐なさに涙が出そうになったが必死で堪えた。
ベンチに座っている私の前にただ静かに立っていてくれる彼のおかげで、心もだんだん暖かくなってきた。
「すん……えっと、障子くんは買い物終わったの?」
「あぁ、もう全て終わっている。」
「はやいっ!」
「安藤は?」
「何処に何があるかわかんなくて…まだひとつも。」
お恥ずかしい…。とポリポリと頭をかく。
障子くんはやっぱりなんの反応も示さないまま返事をしてくれた。
「じゃあ案内しよう。」
「本当に!?」
「あぁ。」
ちょっぴり人見知り対象だった彼だったけど、凄く優しい人だと分かって、まぁさっきの経験も悪くなかったかもしれないなんて思えてしまった。
「どこへ行くんだ?」
「えーと……薬局!」