第2章 愛する人【豊臣秀吉】
暫く無言状態が続いた。
"無言状態が終わって欲しい"という気持ちと"何も言わずにこの状態を保って欲しい"という葛藤が私にはあった。
私はしっかり話したい。
ここから居なくなるのなら。
───自分の想いを伝えたい。
「あの…、秀吉さん…私」
"貴方のことが好きでした"
って言い掛けた時
「俺、お前の事が好きなんだ!」
そう言って私を抱き締めた。
…嘘だ。
だって貴方はいつも冗談な事を言って困らせる。
出会った時もそうだった。
"俺は織田信長だよ"
あの言葉みたいに冗談で言ったのではないかと思う。
でも彼の目は真剣そのもので。
「俺…お前を元の世界に帰らせたくないんだ。」
ギュッと気持ちの籠った言葉と行動で私を泣かせる。
「…抱いてください。居なくなる前に…。」
私が声を振り絞りようやく出せた言葉だった。
…
私は抱かれた。
最初で最後かもしれない。
それでも幸せ。
一番大好きな貴方に抱かれているんだから。
「ごめんね…楓。」
彼はそんな事を呟きながら、私と一つになる。
「あ、っはぁ…ん、あっ!」
"ごめんね"なんて聞きたくない。
もっと名前を呼んで欲しい。
もっと噛んで欲しい。
もっと血を吸って欲しい。
そしてもっと
『私を愛してほしい。』