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【NARUTO】人狼といっしょ。

第4章 少しの歩み。


名前もなかった私に、なんて大層な名前をつけて、私は男と木の葉に来たんですよ。
道中私は、餌をくれる彼の枕代わりになったり色んな話を聞かせて頂きました。
「旦那様の事も、旦那様のお母様の事も、沢山聞かせてくれました。」
「ぇ…?」
「いつか、君が自由になって息子が結婚していなかったら…」
ごくりと、喉が動く。
は困った様に微笑む。
「力になって欲しい、寄り添って助力してやって欲しい、そう言われたんですよ」
「とう、さんが?」
「はい、私を木の葉まで連れて来た忍はとても優しくて強い素敵な忍びです、はたけサクモと仰られていました」
「知っていたの?俺が、息子だと」
「はい、ですが、自由になれてはいませんから、それに…こんな風に話せる時が来るなんて思いもしませんでしたからね」
ぎゅっと引き寄せしがみついたのはカカシだった。
「気に触りました、か?」
首を振る彼にそっと囁く。
「最初に首輪をつけたあの方は、優しくてあの頃の私はいつもイライラしていました」
思い出し笑いをして旦那様の、髪の毛を撫でる。
「追手の香りを辿ろうとしていると、隣で魚を焼きはじめて私はやめさせるために全部食べてやったり、炭にしてやったり、あの手この手をしていましたからね、今思えば彼はそうする事で追手に手を出させないようにしていたのかもしれませんね」
眠るときは二人一緒、けれど私は少しの仮眠で平気だった。男を護って目を光らせる自分の香りが魚臭いのは死ぬほどいやだった。
それでも、川では魚。
「一週間と少し、一緒でしたからね。色んな思い出がありますよ…ダンゾウ様にも誰にも言う事がありませんでしたから」
「なら、父さんが巡りあわせたのかもしれないね」
「サクモ様がですか?…………夫婦になっているとは嘸驚かれている事でしょうね」
「時々聞かせて、父さんとどんな話をしたのか」
「つまらないですよ?」
「知りたいんだ、の事ならどんな事でも」
妻は時々、いつもの笑顔ではなく向日葵のようにぱぁっと咲く笑みを見せる。
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