第4章 少しの歩み。
翌日の休みを満喫しようと中庭に立つを見つめながらお酒を口にしていた。
ふさふさと、揺れる髪の毛と尻尾を見つめながら飲むお酒はなかなか美味しかった。
「」
手招きをすると首を傾げ目の前に来る。
ぎゅっと、抱きしめればなんですか?どうしたんですか?と言いながらバスタオルを頭の上で畳んでいた。
「柔らかいねぇ」
「!?酔っているんですか、お酒片しますよ」
「酔ってないよ、もう少しだけ」
深呼吸をすると顔をあげを見つめる。
「どうしたんです、珍しくこんな時間からお酒まで飲まれて」
「休みだからね、それに…の背中を見てたら美味しそうだなって思って」
「?」
小首を傾げる奥様にを見て胸元にキスをする。
「夢を見るんだよ」
ぽそりと話す声には耳を傾ける。
「仲間が次々と死ぬ夢を」
息が一瞬止まるのを感じて微笑する。
「俺は約束を何一つ守れず仲間まで護れない夢を、そんな日は一日中何もする気起きないんだけど、今日は目覚めたら隣にセミの抜け殻みたいにぴったり張り付いて眠る君を見てなんか、いいなって思えたんだよ」
可笑しいよねと付けたす。
「自分でもよくわからなくて、そんな支離滅裂な感想と温かい気持ちでいま一杯なの」
「旦那様でも、そんな事あるのですね…」
髪を撫でる指は心地よかった。
ふと、見上げればは驚いたと言わんばかりだった。
「私も夢を見ますよ、でも、私は、過去なのかもしれませんね、誰にも言ったことは無いのですけどね」
狼の私を見て驚いた男がいた。
けど、その男はクナイを投げるでも印を組むでもなく「おいで」と呼ばれた。男の手にはパンが一切れ、ジャムを塗っていて私は警戒しながら一歩踏み出すと、その男は「たべちゃうよ」と意地悪を言ったの。
慌てて男の手からパンを奪うと無我夢中で食べていたから気が付かなかった、男が私の頭をなでている事に。
「こうして、ゆっくり上から何度も何度も優しい瞳で撫でてくれたんですよ」
「くすぐったいね」
「えぇ…」
私はポロポロと涙を、落としていたらしくぎゅっと抱きしめられて、自分じゃない香りに初めて包まれたんですよ。居心地が思ったより良くて、血の香りが仄かにして、幼子の香りもしたんですよ。