第4章 少しの歩み。
は身体をよじらせていた。
「、キスだけでいいの?」
「めい、わく、かけたくない、ですか、ら」
「なら、俺とはしたくないの」
「ちがっ!あの!わたし、いま、おかしいので、その、」
「好きだよ、。愛してるよ。ちゃんと、この耳も尻尾も白髪も、狼の姿も愛してるよ」
ボロボロ涙するが愛おしくて抱きしめる。強く強く。
子供のように泣きじゃくる声に頭を撫でてやるとぐしぐしと肩にしがみつく。
布団に寝かせ、何度も唇を合わせる。は膝をすりあわせて、逃げようとしていた。
こらこらと、足を掴むと振り返り首を振っていた。
「俺とじゃ、いや?」
「だめ、です、これ、いじょうは、だめです、わたしは、大丈夫ですから」
「何でさ、続きしたいでしょう?」
は、息を整えて部屋の隅の座布団に座る。
「それは、恋人が、することです、から」
「夫婦だよ、俺達」
「ちがう、です、から、恋はない、です、から」
「じゃ、俺と恋をしよう」
「でも、旦那様には恋人が…」
「リンは仲間だよ、は俺の奥さん、違うでしょ?」
目を丸くして、手を伸ばす泣き顔はただ煽るだけだった。
「旦那様と、恋がしたい、です」
「俺もだよ」
どっちが獣か解らない。
「旦那様っやさ、しく、して…くら、さいっ」
「出来たらね」
昼下がり。
暖かかった。