第2章 愛してもらいたかった。
「私が知ってるさんはよく不知火上忍を担いできていたわ、怪我したとか風邪なのに出歩いてたとか、二日酔いとかもね…あとはイタチさんと団子屋さんでお茶してるとかもよく見かけてたわ。一緒にお団子食べて、サスケくんの話を聴いたりしたり、そうね、優しいお姉さんそんな感じだったかしら」
日当たりのいい場所にいるような気持ちになっていた。
イタチさんの髪の毛を結って遊んだり、結ってもらったり。
悲しい思い出なんて一つもなかった。
笑顔じゃないの姿なんて想像し難かった。
「私だって…なんでこんなことになってるのかわからないんだから」
はすやすやとか細い寝息をたてていた。
ぎゅっとナルトが手を握ると、ぴくりと動きまつげをあげる。
「!!」
びっくりしたように目を丸くすると、起き上がろうとして枕に頭がもどってくる。
「だめです!まだ動ける体じゃないんですから」
「まぁ…私、人の姿になれたのね」
「戻ったんだってばよ」
ナルトの一言にふわりと微笑む。戻った。
そう、人の姿に化けているわけではない、狼の姿に化けているわけでもない、両方彼女なのだから。
「紅の匂いがする…いたんですか?」
「紅先生ならさっきまでな、それよりすげー心配してたってばよ」
「そう、アスマにはヤキモチ焼いちゃうけど、紅をきっと大切にしてくれるわね」
そう言って寂しげにナルトの手のひらにキスをする。
「ナルト、サクラ、もういいのよどうせ姫様…あ…綱手様がまた私をどうにかっておっしゃったのでしょう?」
サクラの涙を浮かべる表情を見て反対の手を伸ばし涙を拭う。
「体の中もぐちゃぐちゃだから、人の姿でいるのは難しいってわかってる…それに、こんなことをしたらサクラ達までが怪我しちゃうわ」
「みんな誤解しているだけです」
「そうだってばよ!!は…」
「その方が都合がいいことも多いの、それで救われる人も沢山いるのよ、それでいいって思ってるのだって、私人狼ですから」
人のためになれるならそれ以上に幸せなことないですもの。