第2章 愛してもらいたかった。
もう少しだけ、一緒にいさせてと願う。
もう少しだけ、一緒に時間を過ごさせてと望む。
綱手は黙り込み俯くカカシを見て、そっとを渡す。
「一ヶ月。この子がこの姿で自分の呼吸器で生きていられるのは一ヶ月が現状では限界だ。狼の姿だと別だが」
軽すぎる。
「一ヶ月後また来る。ナルトとイタチはサクラのところに二日に一回連れて行け、少し様子を見よう。この子をお前に預ける。カカシ、監視ではないこの娘がどこ行こうがお前は見張る必要はない。」
奥さんは死にかけていた。
手渡されたその小さな命は、消えかけていた。
その後はサクラが治療をし、紅がアスマに連れられて帰っていた。
紅にしたら娘か妹かそんな存在なんだろう、大切な家族で大切な恩人。
イタチは綱手様とシズネさんと打ち合わせをということで帰宅していた。
ナルトはの手を握って涙を何度も拭っていた。
「俺、ずっと知らなかったってばよ…とカカシ先生の関係とか、のこととか…なんも知らなかった」
「当たり前でしょう、人狼のことは極秘だったんだから…」
「人狼⋯か、俺その言葉あんまし好きじゃないんだよな、サクラちゃんは知らねぇだろうけど、ってほんと⋯母ちゃんがいたら、姉ちゃんがいたらこんな感じかなって思うぐらい優しくてあったかくてでっけぇ人だから⋯⋯」
「⋯そう⋯」
「飯も上手くて、けど、どっか抜けてて、いつも俺の話をずっと聞いてくれた。俺が疲れるまで笑顔で嬉しそうに⋯結婚のこととかその、自分のことなんて全然話してくれなかった…」
玄関に不安と期待をかかえて立っていると笑顔で、お帰りなさいと言って開けてくれる。その笑顔と部屋の明かりに何度も救われて、あまり迷惑をかけちゃいけないと思いながらも通っていしまったこと。
雨に打たれて帰るといつもお風呂に入りなさいと怒られたこと、髪の毛をドライヤーで乾かしてもらったこと。
いつも、笑顔で受け入れてくれたことがあの頃のナルトにとってどれだけ心の支えになったのだろうか。
「髪の毛、白かったんだな…」
さらりと髪の毛を梳く指から落ちる真っ白。
ひと房掴んで塗りたくる黒を思い出す。
泣いていたのだろう、あの日。
白い着物を着て、頬や裾に黒い泥をつけて鶏を追いかけたり、出迎えをしてくれたり、綺麗だった。
あぁ、そう。
大切になるのが怖かった。
