第15章 初心者夫婦、初心者親子。
カカシは大変頭を悩ませていた。
多忙な事には慣れていた。
しかし、ここまでくると溜息では済まされない。つい先日かわいい息子が産まれたというのに、会えたのは昨日とあの日以来。
家にも帰れず、オビトとリンの報告からしか様子を知らない。まぁ、二三日で赤子が急に成長することはないとはわかっていても、だ、の側に居られないというのもまたストレスの一つなのだから。
俺が泣いたら来てくれるかな⋯なんて思いながら終わりそうもない書類を眺めていた。
「はぁ~ぁ⋯ねぇーえ、少し休憩してきてもいい?」
「いいですけど、さんのとこに行っちゃだめですよ」
「鬼だねぇ」
シズネにそう言われても向かう先は変わることは無かった。
それはこの間ポロリと、リンが言った言葉が気になっている。
『すっごかったの!一瞬にしてオビトの腕で泣き止んだの!私や紅じゃ泣きやまないのに!』
『まぁな!なんせどっかの誰かと違ってずっとそばに居たからな』
『ふぅ~ん』
『オビトったら飛翔のお父さんみたいだよね』
え?
え?
え???
いや、俺の子供だよ!?
オビトは照れてるし、リンは笑っているが俺は全然唖然。
本当に息子に会えてない俺からしたら冗談に聞こえない。
「あ、そうだ!ちゃんから伝言」
ぴくりと背中を伸ばすとクスクス笑うリン。
『頑張りすぎないで下さいね』
声が聞こえた気がした。
お弁当と、着替えと!なんて言ってリンが持ってきた紙袋の中身の説明をしていた。
飛翔で手がいっぱいだと言うのに⋯
「の様子はどう?飛翔の様子はわかったから」
「会いに行ってやれ」
「⋯⋯」
「それだけでお前達はまた明日から頑張れるんだろ」
オビトの言葉に悔しくもぐらりとした心。
大丈夫、言い聞かせて思い出す。
と子供の温もりを。
とは、思っていたがやはり父親は俺なわけで、の顔を見に家まで足を伸ばす。