第15章 初心者夫婦、初心者親子。
にこりと微笑んで何故か怒っているように見える。
「た、だ、いま⋯?」
「おかえりなさいませ、旦那様!!」
「え?なに、俺なにかした?」
「しました!!!!私、私!!!」
は真っ赤な顔をしている。
言いかかるが中々出てこない。
「とっても、寂しかったんですからね!!」
むにっと、頬をの両手で挟まれおかしくて笑ってしまう。
奥様は、変わった。
言葉を口に出すようになった。
思えばこの時から彼女は不安を抱えきれなかったのだろう。
は、知らなかったのだから。
無償の愛を。
ぎゅっと抱きしめると、はぽろぽろ涙を流していた。
「旦那様、ごめんなさい⋯わたし、ダメな母親です」
ん?どうしたの?
と聞けば彼女はぐずっと鼻をすすり苦しげにこぼす。
「飛翔の事がわからないのです」
産めば母親になり分かるものだと思っていたと、けれど実際はなにもわからない。
なぜ泣くのか、何故泣き止まないのか、何を伝えたいのか。
どうしてあげたらいいのか、どうしてほしいのか⋯わからなかった。
ふと、の頭を撫でて頷く。
「」
皆はわかるようになると言うと、それでも、わからない。
わからない事が悲しいと。
「、飛翔は?」
「さっきオビトさんが来て二人で寝ています⋯」
成程と、察する。
オビトに出来て何故自分に出来ないのか、自分は母親なのに何故わからないのかと、ぐるぐる悩み苦しんでいたのだろう。
けれど、カカシは少し嬉しかった。
彼女が、相談してくれる事が。
泣すがるのが自分なことが。