第14章 懐かしさと。
「勝手をするおつもりですか」
「お前は仕事だろ、俺は親友としてこれだけは伝えてやんなきゃなんねぇからな」
「貴方は⋯あの人がどれだけ悩んでいたか知っているのによく⋯」
「関係ねぇよ、つーかお前がよく分かってんだろ、は強くなった」
言葉が⋯。
「それは、カカシと別れるためじゃねぇ。人狼として生きるためじゃねぇ、押し付ける優しさでも離れる愛情でもねぇよ」
イタチは顔を歪め俯く。
「はたけカカシを幸せに愛するために、は強くなってんだろ」
「⋯⋯だから」
『イタチ⋯ごめんね』
疲れた声がまだ、耳に残る。
「あの人は、もう、疲れてるんですよ」
こぼれ落ちるように呟いた。
あの日の朝。泣いていた。軽蔑と同時に理解してしまったから。彼は怯え愛することを疲れてしまっているんだと。
オビトはイタチの頭をグシャグシャと撫でてにかっと笑う。
「ンなもん知ってる。それを知ったから、強くなったんだろ、イタチ。かぁちゃんってぇのは、つえーんだよ」
頬に伝う雫は、簡単には冷えなかった。
を慈しんできた、愛してきた、カカシを尊敬し敬愛してきた。ただ、二人が笑顔で幸せになってくれたら、それだけで⋯幸せになれた、そう、そんな、筈だったと言う期待を裏切られたような感覚がひどく胸を締め付けたんだ。
二人共、ただ。
愛に疲れてしまったから。
「オビトさん、は⋯きっと、今までよりもっと困難に立ち向かうでしょう」
「あぁ、そしたらお前はどうするんだ?」
ふと、サスケを思い出し胸がじんわり温まる。
「えぇ、きっと、近所のスーパーお兄ちゃんは俺でしょうね」
イタチはすくっと立ち上がり、オビトと共に向かう。
守る事に疲れ、壊してしまった者の元へ。