第13章 強さ。
ああ、私はこれとは戦えないと気がつく。
けれど、きっと、人間はこの不安と恐怖を抱えて幸せを求めるのだと噛み締める。
幸せは、幸せだけでは幸せだと気がつけない。
自分を必要以上卑下すると、本当の幸せさえ見失ってしまう。
私は人狼。
けれど、人とは圧倒的に違う。
歴史も、存在としても。
けれど、私は其れ等と戦うと決めた。
泣いて私が弱いからだと怒った人が居たから。
優しく何も言わず聞かずに会いたかったと言ってくれた人がいた。
何があっても変わらずに好きだよと言ってくれる人が居るから。
これ以上、逃げているのは人狼として廃る。
そう、私は武器。
産まれながら滅びを待たれる。
それでも、仲間が、こんな私にも仲間がいるから。皆に認められなくても、仲間の皆が悲しむ顔をさせないために、強くなる。
「むにゃ⋯むにゃ⋯」
強くなって、幸せになれなくても!
いつか、死んじゃう時が来ても。
ダンゾウ様が、良くやったと、泣いてくれるような最後がいい。
だから、戦うの。
戦わなきゃ、変わらなきゃいけない。
「⋯⋯⋯つよ、い、のよ」
ふと、お腹の中がぽかぽかする。
あぁ、そう、この子。
私は、戦わなきゃ行けないもう一つの理由。
綱手様に習っている赤ちゃんができる仕組み、そして、赤ちゃんの事。
習えば習うだけ私にできる気がしない。
けれど、最初はみんな、そうだと言っていた。だから、人間は学ぶのだと。できる気がしない不安を埋めるため、学びほんの少しの勇気と自信をつけるのだと。
この間初めて、人間の赤ちゃんを抱かせてもらった。
とても、重たくて、小さくて、愛らしくて。
命を両腕で抱いている感覚だった。
怖くて、怖くて、愛おしい。