第13章 強さ。
「お疲れでしょうに、今お味噌汁温めるので食べすぎないでお待ちください」
「いいんだよ、僕の事は。それより、ナルト君にあったんだってね」
「はい!ナルトの事は⋯はい、思い出せました」
ぐーるぐると鍋を混ぜて、ご飯をよそう。
サクモの手元に置くとありがとうと微笑む。
お味噌汁が温まり、よそってテーブルに並べると、昼間のあまりの胡瓜の漬物が冷蔵庫に冷やされていてそれもテーブルに置く。
「ナルトは⋯私にいつも⋯沢山の事をくれましたから」
「そうだね⋯君にとってナルト君は特別だったね」
「はい!」
麦茶を注ぐと、食べ始めているサクモ。 一つ置いて、一つ自分の手元に置く。 あぁ、眠ってしまったんだ。
サクモが帰ってきたから帰ったのだろう。
「そう言えば、買出しに行ったんだってね」
「はい!オビトさんと二人で行ってまいりました、お肉とかちょっとしたものですが」
「オビトくんと二人で⋯」
「はい、ナルトを見つけてくれたのもオビトさんですから⋯えへへ、流石ですね」
「随分仲良くなったみたいだね」
ゆっくり味わって食べているサクモをみて何故か胸が満たされる。
騒がしいのも好きなんだろう、自分は。でも、こうして静かな時間も嫌いじゃないと思えてきた。
「リンちゃんしか、私は知りませんでした⋯けれど、綱手様や、紅やオビトさん、アスマやイタチさんやナルトやヤマトさん、沢山の人に出会って⋯ダンゾウ様の言う通り、思い出す事も多いです」
「それは、ゆっくりでいいんだよ。もし、それが、嫌だというなら⋯」
「嫌でした⋯嫌でした⋯⋯けれど⋯ダメなんです、私が、弱いままだと、逃げてばかり居ると、ただ、優しいだけだと、誰も何も守れず傷つけてしまうと⋯だから、良いんですよ。」
サクモは目を丸くしていた。
「いいんです。まだ、まだ、思い出せない事が沢山あります。もし全部思い出したらまた、逃げたいって思うかもしれません。だから、ゆっくり思い出して、⋯私は戦う力をつけるって決めたんです」