第13章 強さ。
忘れたままでよかった。
幸せだった。
けれど、思い出した事がある。
この子を預かった時決めた。どんな辛いことがあっても。私といる時はそんなこと思い出さないよう笑顔で、楽しくいようと。
そうしたら、きっと、辛いことがあってもきっと、嫌いにはならないでくれるから。
久しぶりに繋いだナルトの手は大きくて硬くて男の子ではなく、男の人の手をしていた。この子が、それだけ、頑張ったという事。
私は、私の手はまだ何も掴めもしない。
だって、手を伸ばすのをやめてしまったから。
そう、戦うのをやめてしまったから。この子は、きっと、戦っても負けても勝っても⋯ちゃんと正しく居られたのだろう。
私が出来ないことを出来てしまう、自慢のいい子。
見習わなくてはならない。
下唇を噛む。
「ねーちゃん、俺ね、ねーちゃんが居てくれて良かったってばよ」
ふと、ナルトを見上げると照れくさそうに言うから。胸がぽっと熱くなる。
うん、この子のそう言うところが、とても、愛おしいんだ。
「私もよ、今度は、今度ちゃんと貴方の自慢のお姉さんで居ますから」
意気込む。
今だけでも、私に力を。
この子の自慢で居られるように。