第13章 強さ。
綺麗な髪の毛を鏡の前でまとめて一つに縛り上げる。
「料理する時は髪の毛が食べ物に入るのは良くないわ、だから纏めるのよ」
「どうして、なのですか?」
「衛生的に良くないからよ」
「衛生的⋯?」
「が好きなリンゴの中から知らない人の毛や虫が入ってたら少し嫌でしょ?」
「!はい」
「そうならないために、手を洗い、爪を短く整えて、髪の毛を束ねるのよ」
「なるほど、そうだったのですね」
紅は鏡越しに微笑む。
「、料理は好きな人を思い浮かべて作るととっても美味しくなるのよ」
「!すきなひと⋯リンちゃんとかですか?!」
「ふふ、まぁそうね、それもありね。」
「リンちゃん、美味しくなるように思い浮かべますね!」
「、ちゃん⋯えへへ」
「カップルかよ、お前ら」
オビトが入り口に寄りかかり腹減ったと付け加えていた。
は、にっこりと笑みを浮かべて、今美味しくなる方法教えてもらったから待っててね!と言う。
「敬語縛り」
「はうあ!」
は仕方なくリンが抱える箱に手を突っ込む。
一枚小さな紙をつかむ。
そろりと紙の中身を見て項垂れる。
「まっ!今度も難しいです⋯」
ひらり、と紙を広げると謎の暗号。
オビトとリン作だから意味は解っていた。
紅は暫くと見つめ納得をしたような声をあげていた。
「く、紅、わ、わかったのですか!?」
「ええ、でもそうね、これは少し面倒ね」
「面倒なのですか?」
「そうねぇ⋯」
紅はうーんと唸り声をあげて閃く。
「なら、難しいので、私が大ヒントをあげるわ」
「まぁ!」
は目を丸くしてぱあっと顔を赤らめる。
綺麗に笑う紅を見ては、少しずつ人間の喜怒哀楽を学ぶ。
それと同時に、目を閉じると胸が締め付けられる様な変な感情が湧き上がる。
私は、多分。紅が大好きなんだと。
それは、知っていた事な気がした。