第13章 強さ。
「なんで?だって、人狼は⋯」
「えぇ、貴方がのんきにダンゾウ様の忠実な犬をやっている間に彼方此方を駆け回り、今こうして、生きてられるのですよ」
棘のある言い方。
「⋯なんで⋯⋯」
「木ノ葉の、ただ一人功労者である人狼を愛していたからですよ。」
ぐらりと脳みそが揺れる感覚。
「なんで、なんで、なら、なんで、わたし、赤ちゃんなんているの!?」
イタチと言う男は眉間を寄せていた。
「貴方が、約束を破り、逃げたからですよ」
「イタチ君!」
「事実です。」
「違うわ!違う!ちゃん、あのね、悪いのは⋯悪いのはね」
「貴方が、あの人を待っていたら信じて待っていられたら⋯こんな事にはなりませんでしたよ」
「ちゃんが聞いてるのはそこじゃないでしょう」
リンはそろり、とを抱きしめた。
「悪いのは、一番悪いのは、私たちだよ。あの人がそこまで悩んでるって理解してあげられなかった」
「⋯ぇ?」
「ちゃん、あの日。私と会ったあの夜。その後私はサクモさんと里に帰っていたんだ、その時あなたの見張りに一人。置いていったの。」
は目をぱちくりしていた。
「⋯その時、監督者はね、その人に仕組まれその場に居なかったの。そんな時に、ちゃんはあの人に、何かされたでしょう?」
ぞわりとした。全身の毛が逆立つ。
イタチは視線をそらした。
「サクモさんに似た髪の毛と、優しい口調の人だね」