第13章 強さ。
人の姿で過ごすというのはとても思うようには行かない。
そう思わされた。
そして、私は今「妊婦」というものらしい。
朝食を頂き、サクモは直ぐに仕事に出かけた。何やら忙しいらしく私はストーブの前で今勉強に勤しんでいた。
先生となる人は、うちはイタチさんという方と、リンちゃんだった。
聞いてませんと言えば、お留守要因は間違ってないでしょう?とサクモに言われ呆然としながらも、初めて筆を手にした。
優しげな男の人。
「では、文字の練習からですね」
半泣きになりながらイタチさんを見上げる。練習もなにも、あいうえおのあの字さえ書けないというのになんて仕打ちだ。
ノートと参考書を片手にあうあう、と何をどうすべきか分からずにいた。
「ちゃん、慌てなくていいんだよ、ゆっくりで」
「あまりお時間はございません。」
「もう、意地悪言わないの!」
隣に座ると、リンちゃんが優しくここから始めようねと言ってくれた。
けれど。
「なぜ⋯こんな事をするの、リンちゃんなんで私、お腹に赤ちゃんがいるの?」
「っ!」
「何で、こんなことになってるのかなぁ?考えたけどわからないの、ダンゾウ様は怒ってるし、サクモは⋯優しくて⋯言えないの」
リンは何も言えず、俯く。
「貴方は、特別なのですよ。」
ふと、イタチという男の人が呆れたように言った。
「今の火影が、人狼を重要視し、特別だと位置づけたからです。」
「??重要視⋯?」
「そうです、だから、今貴方が生きていられるのですよ」
全然納得も理解もできなかった。