第12章 やっぱり。
「ちゃん、それじゃぁね」
「えーリンちゃんもう帰るのです?」
「うん、また来るからね?」
「しょんぼり⋯」
しんなりとする尻尾はいじけるようにグルグールと半円を描いていた。
それを見てリンはグリグリとの頭を撫でて額にキスをする。
「大好きよ、貴方だけが彼を支えられるの⋯人らしくさせるの⋯」
「リンちゃん?」
「ちゃん、私は⋯私も決めたのよ⋯貴方の力になろうって。ずっと前に決めたのよ」
そう呟くとを抱きしめていた。
「ちゃんと⋯」
「リンちゃん?大丈夫えーっと⋯あ!お利口さんしてるからね!また遊んでね!!」
「っ⋯」
逃げてしまいたかった。
この子を連れて。
三代目に言われて、会って驚いた。初めはカカシに知らせなくてはと思った。
でも、彼女は無垢に微笑んだ。
『はじめまして、私は、っていうの!人狼なのですよ!』
怯えながらそう言った彼女は、ただ人を恐れていた。
「ちゃ、ん?」
獣の姿は大きく恐ろしく感じた、けれど、サクモさんはそんなを、子犬かなにかのようにただ抱きしめていた。
「だぁ、れ?なぁに?これ、すき!んぅあったかいの」
「僕ははたけサクモ、よろしくね」
「これすきーねぇもっとして!」
何も知らない、子供のように。
抱きしめられた記憶さえ、彼女にはないのだろう。
ぎこち無くサクモに体を預けていた。
「サクモさん、お腹減った⋯でも、これ、とっても好きだなぁ」
あの日からずっと、彼女は人の姿になる事は無い。ただ、幼いまま。
今夜も人を殺めにいくのだろう。