第12章 やっぱり。
テンゾウの口から聞いた言葉にしゃがみ込む。
「あ!だめ!ちゃん!!!」
リンの声に視線を向けると、はさっきリンが買っていた着物を引きずって遊んでいた。
「わぁい!なぁにこれ!人の着物でしょ!!!しってるんですよ!すてきー!宝物にする!」
玄関を飛び出てシャンシャンと鎖を響かせ家の脇に着物を引きずり走ると穴を掘っていた。
リンが慌てて出てくるがサクモに止められる。
「あれは、あれはだって」
「⋯ごめんねリンさん」
「リンちゃん!ありがとう!!大事にするね!」
埋め終えると尻尾を降って座っている獣。
嬉しそうに尻尾をパタパタとしていて、リンは涙を零しながら抱きつく。
「なぁに何で濡れてるの?りんちゃん」
「何でもないのよ、良かったぁ喜んでくれて」
「あんな綺麗な布⋯着物!初めて見た!まるで、お姫様みたいだね!」
「ちゃんなら気に入ってくれると思ったの」
「うん!!すっごーーーーくお気に入りだよ!ほんとにありがと!リンちゃん」
ぎゅうっとを抱きしめてるリン。
頷くだけだった。
「本当はね小説にしようか迷ったの、でもね、この着物はきっと喜んでくれると思ったのよ」
「⋯しょ、うせ、つ???」
「そ、っ、か⋯そうだね、それはダンゾウ様が許可してなかったもんね」
「なら、には要らないものだね!」
わしゃわしゃとの顔を撫で回す。
「りーんちゃぁああぁぁん」
「あはははっちゃん大好きかぁわいい」
「もリンちゃんすき!!」
お腹を出して寝そべるに乗っかるように抱きつくリン。
爪を引っ込ませて気をつけている。
優しく見守る父。
「なんだ、これは⋯」
見たものを信じられず、ゆるりと、里に戻る。
考えられない、があのが人を殺すことを選ぶなんて。忘れる事を選択するなんて⋯信じられない
家路を辿りながら、気がつくと頬に涙を伝わせていた。あの子は⋯ちゃんと、死なない事を選んだ。
俺との約束通り、死なない事を選んだ。
一緒に居ることは選ばれなかった。