第12章 やっぱり。
ドアが閉まるとそんな会話は途切れた。
何だ、あれは。
あれは、多分⋯だ。
何故こんな場所にいるんだ?
「⋯どういうこと?テンゾウ」
「⋯僕に聞くなんて意地悪ですね⋯」
深くため息をつく。
カカシはテンゾウに掴みかかる。
何故何も教えてくれなかった?知らせなかった?
「⋯⋯は、狼として、根のものとして生き続けるんですよ。だから、厳重な管理として僕達が監視についてるんです。サクモ殿まで引っ張って」
「は⋯?」
短く息が出た。
「夢を見るのは寝ている時だけで良いと」
「誰が言ったんだ!!そんな下らない事を!!」
頭がぐちゃぐちゃになる。
「あの人は、忍でも人でもありませんからね」
「っ!」
「仕方ないじゃないですか⋯彼女は、人狼なんです。その事実は優しくすればする程彼女を傷つけるんですよ」
これが幸せだと?
こんな下らない茶番が彼女が求め望んだものだと!?
違う。違う!
「リンさんは、の唯一話し相手に選ばれたんですよ、と言っても消去法で残ったんですけどね」
ズルりと手を離し項垂れる。
「人を殺すために、彼女は記憶を改竄したんです。」
あの子は人に害を与えられたことも無ければ、恐怖もない、人に興味さえない、ただの獣のですよ。