第12章 やっぱり。
カカシ様と約束をした。
貴方様より先に死なない。
私はあの楽しく幸せな時間を捨てた事を思い出す。あの時のどうしようもない幸福と何処からか湧き上がる不安と恐怖。
その時気がついていた。
私はこれと戦えない。
私はこれと向き合えない。
だって。
誰も教えてくれなかったもの。
戦い方も分からない、ただただ、恐ろしい。
だから、幸せを胸にダンゾウ様の後ろを歩く。私という人狼を深く愛してくれた貴方様。私は全てを捨てても貴方様について行くと決めた。
なのに、私の願いを夢を聞いてくれた。
覚えていない、けれど貴方はあの時私になんて言ったのだろうか、どんな顔を私はしていたのだろうか。
その結末がこれだと言うことに貴方はどう思っているのだろう。
ふと、立ち止まり振り返るダンゾウ様。
小首を傾げると、優しく頭を撫でられる。
「紫は⋯幸せだったそうだ」
その言葉を聞いて胸が締め付けられた。
「⋯⋯っ」
「間違えたのなら私だろう、誰でもない私だ。全てを知っていて解っていた、死ぬことも、お前がこの先たどるのは何れにせよ自分と同じだろうともな」
「⋯なら、なぜっなぜ、私を外に等と⋯私が⋯私が貴方のそば以外で生きて行けぬとご存知だったではありませんか!」
「⋯あぁ、私が間違えた。そうだ」
は座り込み俯く。
どうして、強く引き止めてくれなかったか何て簡単だ。私が望んだから。
「ダンゾウ様、今度は間違えてはいけませんよ」
顔を上げて言えば、眉間を寄せていた。
返事もせず再び歩き出す彼の後ろをシャンシャンと鎖を鳴らし歩く。
「ダンゾウ様、は外では暮らせません。夢を見てはなりません、当たり前なのです、化け物なのですから。人狼はこれで終わりです。私で、終なのです」
ごめんなさい。
そう続けるとチラリと視線を配られ苦笑いをする。
「夢は寝ている時に見るだけで私は十分幸せですよ、後は貴方様が隣に居てくださればそれだけで贅沢過ぎるほどです」
だから、、次の私には夢を見せないで。
「⋯お前は⋯⋯いいや、なんでもない」
愛していると告げて嬉しそうな顔をしたあの人を思い出す。
幸せな気持ちは私には抱えきれないもの。
当たり前だ、それは人間が許されたものなのだから。