第12章 やっぱり。
そんな顔をさせたかったのだろうか?
あの頃の私から何も成長出来てない?
今回は違うと流されていた?
あぁ、そう、違うのは⋯皆が動いたから。
私は⋯私は私のために私とカカシ様の為に何をしてきた?カカシ様は変えようと動いてきた。私は、私は何をしてきたろうか。
この人がこんなに苦しませているのは、私が何もしなかったから。
だから、だから⋯苦しませてしまうんだね。
私が人狼だからじゃなくて、私が⋯弱虫だから。
臆病になってしまっていたのを気が付かなかった⋯忘れていた、自分が動かなきゃ変えられないと。
「貴方は⋯何処まで⋯何を知っているんですか⋯⋯っ何を、さっきから、私は⋯私は人狼ですよ!!!知っているなら、解っているのでしょう?」
どんな扱いを受け、どんな人生か。
「人間として、人という生き物として歩んだことなどどの人生でも平等に無いのですよ、それが、人狼です。今回だって思い知ったはずです」
貴方がしてきた事を無駄にさせた。
「貴方の婚約者だろうがなんだろうが、人狼は、化け物で、抵抗のしない合法的な慰み物ですよ!!ええ、私は⋯望みましたよ、幸せになりたい、普通の女の子になりたいと、それは夢なのですよ。化け物が見る夢なのです叶うことはないのです。」
人はそんな夢を見ないから。
これは、化け物が望む化け物だから見る夢。
「自分で自分を守る事も貴方のために身体を護り、愛する事も難しのです。私は人狼です。でも、私だって⋯⋯⋯望んでしまう⋯貴方のために強くなり貴方を普通の娘のように愛し抜きたいと、そんな、些細な事さえ、出来ないのですよ!!!」
それがどれだけもどかしく思うか。
「どれだけ普通の娘のふりをして、装っても、紛い物なのですから⋯どう頼れば良いのですか、どう言えば、良かったのですか!優しくされたことを思い出して耐え忍んで、貴方に泣きつけば普通だったのですか!?それよりも、私はバケモノだからと言い聞かせる方がどれ程理解出来て容易いか」
仕方なかった。
何度言い聞かせたろう。
「ええ、私は怖かったのですよ。愛していた、愛してくれた貴方達が、怖かったのです。続くはずが無く、私がどれだけ汚い者か化け物か知られるのが恐ろしかったのですから」
皆好きだ。
大好き。
けれど、人狼は⋯今⋯
ちゃんと、生きすぎているから。
