第12章 やっぱり。
その言葉に息が止まる。
嫌だ、人間にまた、怯えて暮らしたくない。そんな思いするぐらいなら死んでしまいたい。
貴方は⋯私では無い方が幸せになれるから。
私はあなたを愛してる。
だから、誰より幸せになってほしい。
私はもう、貴方さえ、怖くて仕方ない。
人は嘘をつく生き物だと知っていた。知っていたけれど⋯
貴方にはもう、嘘をつかれるのは苦しい。
愛されることは愛されなくなることに怯えていなくてはならない。
そんな事知らなかった。
愛しているだけの化け物は本当に何も知らない幸せな頭だった。
あぁ、前にもそんなことを感じた。
犬である方が私にはしょうに合っている。
人間では、生きずらすぎる。
私の喉は、人と対話をもう求めない。
私の言葉は、人との理解をもう求めない。
「グルルルルル⋯」
響く獣の声。
なんて醜い。
もう近寄らないでほしいから。
愛されたくない、愛されたくなんか⋯ない
「、答えを聞かせて」
戸をあけた男はクナイを握って悲しげに笑っていた。
ただ、近寄ることも無くクナイを握っている。
あなたにそうさせ続けるってわかっている。
貴方は仲間思いで優しいから、今そうしているのが辛いのがヒシヒシと伝わる。
だから、私は喉を鳴らし獣の声を上げる。
愛されることは⋯とてつもなく恐ろしい。
「、ダンゾウ様が緩めてくれたんだね」
鎖、と付け足して苦笑いをする。
そう、だから、私の身体は人の姿の時の何倍もの大きさで獣の姿に戻る。犬なんて可愛い大きさじゃない。
爪もあなたの顔より大きい。
「⋯迎えに来るのが遅くなってごめんね」
そのクナイは練習用でもなんでもない。
鋭く輝く先端。
「俺は、こうすることでしかきっとを護れないんだと思うんだよ」
思い出される夢。
貴方はいつもそう。
私の隣でも後ろでもなく、ただ、正面にいる。
武器を携えて、そうして立っている。
「どうしても離れないためなら、今度は俺がと幸せになるために何度でも死ぬよ」
静かに。
涙が、落ちた。