第12章 やっぱり。
ダンゾウの家の離れをは与えてもらい、独りでのんびりと暮らす。
外界からの情報など得ようともせず、関わろうともしなかった。
夏の空を見上げて、縁側でまったり本を読む。沢山の書物はダンゾウから預けられたもの。
サクモの部屋には劣るが部屋に並ぶ書物は圧巻だった。胸をほくほくとさせる。
お茶を飲みながら寝巻きのままのは庭を眺める。
人気が少ない、だが、ダンゾウ様の屋敷と言うだけで誰も寄り付かない。
鼻歌を歌いながら空を見上げぱたりと後ろに倒れる。
以前より緩く足首に巻かさる鎖。
深く深呼吸をした。
真っ白のまつ毛を揺らし、耳を澄ませる。
鳥の囀り、風が葉を揺らす音、その風に紛れて人の気配がする。
はのろのろと、起き上がり狼に姿を変えて部屋の奥に奥に行く。
「、聞こえてるんでしょ」
部屋の前から聞こえる。
足音も気配も何も無かったのに。
「。ごめん」
声が震えている。
泣いているのか怒っているのか分からない。
ただ、自分が酷く鳥肌立ち毛が逆だっているのが分かる。
彼はこんな自分を怖がっている。
そして、彼はやはり人間だ。
人間は人間を愛し護る美しい生き物。
人ではない化け物とは、相入れることは無い。例え、愛してると言ってくれても、私が許されているのは、愛する事だけで、愛されてはいけない。
それを求めてはいけない。
私は人間ではないから。
同じ考えをしては生きてはいけない。
もう、ただの女の子になりたいとは思わない。
それはきっと私には過ぎた願い。
写真の中で人間の女の子と笑う貴方は私が愛した優しい貴方だった。
それを見て思い出した。
どれだけ、勘違いを繰り返していたのか。
どれだけ、図に乗っていたか。
恥ずかしくて、苦しくて、怖くて、もうあんな思いしたくない。
喉が鳴る。
思い出される最悪の過去。
怖いと思えて、それが恐怖に感じて、以前よりその不快感が笑えてくる程人じゃない証に思えて悲しい。
「⋯⋯、結婚しよう」
初めてのプロポーズ、ただ、震えていた。
二人で⋯