第7章 恋をした。
団扇で仰いでいるとは起き上がり、頭を押さえていた。
「先日とは逆ですね」
ぽつりと呟く。
「そうだね、なら押し倒されるのは俺だね」
「なっ!?」
動揺してキョロキョロし、布団に入る。頭からすっぽりとかぶっているもんだからバサリと強引に捲ればは獣の尻尾と耳がついていた。
真っ赤な顔をして毛布をつかむ。
「ゆ、油断すると、で、出ちゃうんですっあの、ごめんなさい」
そっと耳をなでるように何度も何度も頭をなでると涙を貯めていた。
「痛かった?嫌だったなら…」
「旦那様を…旦那様を思い出して……」
カカシは目を丸くする。
何を思い出していたのだろう?
「出会ったときに恋をしようと決めた人がいたんです、一度もうまく行かなかったのですが…もし、上手く行っていたらこんな風なのかと思いまして」
涙を浮かべる。
その笑顔はなつかしいぐらい、愛おしい笑顔だった。
「どんな、人だっ、だの?」
は遠くを見つめてふわりと微笑む。
「一人を不器用に大切に愛する人です、仲間思いで、寂しげで、とても強い方ですよ」
ずっと、そう思っていたのか。
ずっとずっと。
「もし、出会っていなかったらその人に恋をしていたの?」
は少し考えるように眉間を寄せる。目を逸らして、微笑む。
「そう言えば、旦那様以外しらないのですよ私」
ふふふと笑うとは咳き込む。
どういう意味だろうと目を丸くするとは目を細めていた。
「カカシ様は、こんどは・・・私に見せてください」
けほけほと咳をする。
「私にあなたの幸せと、恋と、愛を、見せてください」
胸をさすり微笑む。
「ずっとずっと、お側にいますから。いつか、私に…カカシ様のお子様や奥様、家族を見せて欲しいのですよ」
キラキラと光金色の瞳。
痛む胸を掴みうつむく。
この子はあの頃とは違う。
あの頃から何度も何度も傷つき慣れて慣れなくて悲しんで光を探していたのだろう。自分でも手に入る暖かなひだまりを。
「困ったよ」