第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
【壊れかけた想い、そして…】
名前、お前は今、誰の事を考えているのか。
私ではない他の誰かを想い、涙を流しているのか。
名前、お前達を引き裂いたのは何者でもない、この私だ。
左近をけしかけ、さほど急でもない山賊討伐に行かせた。
そして私の醜い嫉妬心がお前達を…。
幸せそうなお前達を見るのが、
ニクカッタ…。
名前、愛している。
私だけの名前で居てくれ。
誰にも渡したくはないのだ。
その色素の薄い髪から絹の様な素肌、すらりと伸びた手足、長い睫毛にこぼれ落ちそうな大きな瞳。
吐く息、声、全て、全て私の物でいてくれ。
誰にも、触れさせはしない。
私のモノだ…。
あぁ、この際檻に閉じ込めてしまおうか、あるいは何処にも行けない様に手足の腱を切り刻んでしまおうか。
そうすれば、永遠に私のモノ。
あぁ、名前、私の名前、愛している…。
「コロシタイホドニ…」
「三成様、如何なさいましたか?」
こんな所で。と
私は名前の声ではっと我に返る。
私は今、何を思っていた…。
私は今、何を言った…。
「あ、大丈夫ですか?」
顔色が、悪いです、と私の安否を気遣ってくれるが、私の顔から全身から血の気が引くのが解る。
「…あ、あぁ…」
問題ない、と私は名前に余計な心配をかけさせないよう、そう応えた。
「…やはり、顔色が優れません。お部屋で少しお休みになりましょう」
ね?と名前に手を取られ強引に部屋へと連れて行かれた。
「お、おい…」