第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
「や、やぁっ…あっ、ダメっ…ッ!」
私の喘ぎ声と卑猥な水音が辺りに響く。
此処は金吾の城からかなり離れている為に誰もいない。
私がいくら叫ぼうが喚こうがお構い無し。
それに天海のバサラのお陰で指先一つにも力が入らなく、奴の言いなりになるしかなかった。
「…ふ、思った通り、甘くて癖になりそうですよ」
そう言うと天海は私の上に乗り、熱くなった自身の欲を私の秘部に宛てがった。
「私のも、気持ち良くして下さい。さあ、名前…」
名前…
名前、
私はお前を誰よりも…っ
「っ、み…っ!!」
い、嫌だ…っ!
もう忘れた筈のあの人の声が過ぎる。
こんな時だからか、私が愛した最後の人。
「っ、いやぁ…!」
私があの人の名前を思った時だった。
天海の欲が私の中に入る寸前に奴の動きが止まった。
「…興が醒めました」
私と交わろうとしてる最中に、他の男を思い浮かべる何て…。
私の上から退いた天海はこの近くに置いてあった浴衣を掴むとわたしに向かって投げて寄越した。
「っ、アンタが無理矢理しようとしてたんじゃない…っ!」
震える身体を誤魔化すように浴衣をキツく抱きしめた私は天海に向かって最後の強がりを見せた。
「フフフ…そうでしたっけ」
なんなの、その余裕の笑みはっ!
そう思い私は天海を睨みつけると奴は薄ら微笑み私にこう言った。
「貴女の血は深き闇色…私たち、バサラ者にとっては貴女のその色は猛毒…」
いいえ、甘い蜜のよう。
「特に、私みたいなバサラを持つ者にとっては貴女の色は媚薬と同じ…」
甘い餌に群がる虫螻…。
「身に覚えは、有りませんか…?」
そんな言葉を残し、天海は去っていった。