第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
【※参拾陸】
「ククク‥‥アハハハハっ!!」
実に面白い!
「この感情の昂り!久しぶりに感じましたよ、名前さん」
フフフ…これは信長公以来。
「っ…っ!」
あぁ、貴女には感謝してもしきれない。
あぁ、もっとその色で、その深い闇の色で私の喉の渇きを潤して下さい…!
「っあ…っ…!」
天海の舌が傷口を這う。
それは吸血鬼と謳われたあの蛭の様に、ゆっくりと、ゆっくりと…。
何時の間にか拘束された手は、いくら力を入れても動こうとしないのはきっと天海のバサラの力のせい。
手拭いに隠していた短刀は湯の中に沈み、今は只の鉄くずに変わりつつあるだろう。
いくら鍛錬していても、経験値の少ない私には恐らく金吾にすら勝てない。
だったら私はどうしたら良いのか。
「ん…ッ、あっ…っ!」
ピリッと傷口が痛みから快感へ変わる。
もう、あの能力は無くなった筈なのに…。
「可愛いらしい鳴き声ですね。この流れる赤も良いのですが…」
貴女をもっと鳴かせて見たくなりました。
「っああっ…!!」
天海は両手を拘束したまま湯から引き上げ、平たい石の上に私を転がす。
その隙に己のバサラを駆使して逃げようとしたが、私に纏わりつく闇のバサラのおかげで失敗に終わった。
「月夜に照らされ輝く白い肌、蒸気と羞恥でほんのり色付く素肌が堪りませんねぇ…」
この幾億にも散らばるこの星たちよりも美し
い…。
「っあ、あっ…っ!」
そう言うと、天海は私に付けた傷を執拗に舐めながら身体のラインをなぞって行く。
「傾国の花の蜜は、どの様な味なのでしょう」
そう言った天海は私の太股を持ち上げ、膝を胸に押し付けた。