第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
【ひらひらと】
気付いたら、俺は自室に戻っていた。さっき迄名前の部屋に居た筈なのだが、記憶が抜けている。しかも最初と最後の方だけ。もし、仮にも最後までヤっちまって、それが三成様にバレたら、
「俺、明日の朝日拝められるかなぁ…」
自室で転がりながら片手を天井にかざし、記憶を辿る。
あの血に引き寄せられ、俺が俺でなくなっていた。
血を見ただけで己の欲が暴発した。
甘い匂い、甘い血、甘い声。そして、甘くて溶けるようなカラダ…。
名前の全てが砂糖よりも甘く、癖になり、また求めてしまう。
「はぁ、柔らかかったよなぁ…」
先程の行為の感触を思い出す。
あんな細っこいのに意外とあって、そして彼女の鳴き声…。
甘い誘惑。思い出すだけでゾクリとする。
その声で俺の名前を呼んでほしい。
『きよ…おき…』
あ。
…………。
俺、まだまだ若いな…。
しかし、名前が言っていた事は本当なのか。
何が異世界だ、過去だ。
そんなの信じられねぇ。そう思っていたのだが…どう言うわけか、その話が俺の中にストンと入ってきた事に対して少なくとも驚いている。
と、その前に…だ。
この話は三成様に言うべきか、そのまま黙っているか…。
てか、会って間もない得体の知れないオンナ、しかも三成様や刑部さん、半兵衛様に寵愛されている人に手を出しちまったんだから待つのは死しかねーよ。むしろ自ら死ぬわ!(死なねーけど!)
と理由はともあれ、ヤっちまったかも知れねーんだからこのまま黙ってるしかない…
「よな…?」
って、俺はだれに言ってるんだよ…。
次いで、コレどうしよう…。