第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
「信じられねぇ…」
俺には理解出来なかった。イヤ、俺だけじゃない筈だ。
姫さん…名前と言ったか、彼女が話した事は妖でも、幽霊でもない、他がこの話を聞いたら頭の心配をされる程にぶっ飛んでいた。
「でも…それが真実…」
俺は組み敷いていた手を解くと、名前の手を引いて起き上がらせた。
「私にも分からない」
何故、この時代に居るのか、何故こんな特異体質なのか分からない、と俯きながらぽつり、ぽつりと話す。
「婆娑羅、って訳じゃないよな…」
俺、そんなの聞いた事ないし…
チラっと名前の方を見ると先程俺が押し倒した時の衝動からか、首から血が流れていた。
「あ、首から…」
ドクン…
「え?首…?」
あ、これは、ヤバイ…。
匂いが強くなった。
頭の中で誰かが囁く。
耳鳴りがする。
もう、抑える暇もなく、
俺はソレに流されてしまった…。