第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
【冷たい風】
「三成様」
俺は三成様の部屋へ来ている。
三成様は執務の最中で俺に視線を合わせず、筆を動かしながら何だと言った。
滅多にこの部屋に近づく事の無い俺はあのオンナの素性を知るべく為に此処へやって来た。
「三成様あのオンナ、幽れ…」
ズゴンっ!!!
「っぴゃあぁぁぁぁっっ!!!」
言い切る前に俺の額に何かが直撃し、稲妻のような激痛が走った。
三成様はこれくらい避けろ、と無茶苦茶だ。
あーぁ、コレ片付けるの俺だよな…。
無惨に転がる硯を見つめた。
痛む額を摩りながら本題に移ると三成様は筆を置きため息をつきながら話を続けた。
「貴様の言いたい事は分かるが…」
どうしようもないのだ…。