第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
【異常、異様、異質】
私は此処に来てから厠以外は部屋から一歩たりとも出ていない。
出たとしても迷子になるだけだ。それに、石田様、大谷様、着付けて貰った女中さん達しか知らない理由で、下手に出歩いて私の存在を知らない他の方に出くわしたらどうなる事か。
とりあえず、元就様の所で着ていた着物を身にまとい、石田様か大谷様が来るのをひたすら待っているしかないだろう。
「はぁ、お腹空いたなぁ…」
そんな事をぼんやり思っていると知っている気配が一つ、そしてまだ感じた事のない新しい気配が私の部屋へと近付いてきた。
知っている気配を読み取ると一瞬で顔が赤くなる。
い、石田様だ…。
「ど、どうしよっ!」
会わせる顔がない!無理!斬首だ!!とオロオロしていると私の部屋の襖が開いた。
え、開いた!?入って来た?!
ちょ、ちょ、石田様!?
入って来た(無断)のは石田様ともう一人りの人だった。