第2章 ~ゆるり、ゆるりと籠の鳥~
【銀の月に包まれて】
深い闇から眩い程の白い光が私を包む。
あぁ、暖かい…。
私はその光の中心に手をかざすとそれはは四方へと散った。
意識は徐々に明解になり、その散った光は私に朝と告げたのだ。
昨夜はあの様な事があったのにも関わらず、私は夢も、何事もなくぐっすりと寝れたようだ。
ん、と一つ伸びをしながら上半身を起こすと、何か違和感を感じた。
「っ…な、何…?」
微睡みの余韻もまるで無かったかのように、その違和感は私を侵食する。
ドクン…
な、に…?
ドクン……
部屋の空気が震えてる…?
不安気に辺りを見渡すと光が漏れる方からその気配がした。
目を凝らして見るが、逆光でまともに見る事が出来ない。
「起きたか…」
その何かが言葉を発する。
その瞬間、血の気が引くのが分かった。
「っつ!」
私はギュッと布団を掴む。
ドクン………
あぁ、ダメだ。
昨日の事が鮮明にフラッシュバックする。
恐い、こわい、コワイ…
「あ、…あぁ…」
私は怯え、その声を拒絶する。
だが、その声は私を無視し、ゆっくりと近付いて来た。
「…私が」
恐ろしいか…。
あ…は…は
「貴様は…」
刑部の何なのだ…。
はぁ、はぁ、ハァ、ハッ
私の呼吸が乱れて行く。
上手く、息が出来ない。
「おい」
どうした…。
彼が私に何か話している。だけど私の乱れた呼吸は何も聞こえないし、応える事が出来ない。
はっはぁっ…
「た、たす…けっ」
助けて、大谷様っ!!
声にならない声で私はあの人の名前を呼ぶ。
だけどあの人は来てくれない。
側に居てくれるんじゃなかったの?
ねぇ、私の震える心を包んでよ!!
私は目が虚ろになり、石田様も何もかもが霞始めたその時だった。