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【戦国BASARA】闇色夢綺譚 ※R18

第1章 ふわり、ふわりと夢、うつつ


「名前よ、卿は何れ大きな決断をしなくてはならない刻が来るだろう」

ぐるぐる考えていると松永さんは謎めいた事を述べる。

「え…?」

良く分からなくて彼を見つめる。

先程より傾国の花の匂いが強くなった、と彼は話す。

「この匂いに惹かれるは」

恐らく、いや、確実に、

「婆娑羅者のみであろう」

点てた茶を嗜みながら松永さんは言葉を続けた。

「風魔も、そしてあの猿も卿に囚われた」

え…ましら…?ましらって…?

「嘘!まさか!?」

あの時言っていた言葉って…

「卿は猿を知っていたのかね」

はっとして、口元を抑える。
どうする、どう誤魔化せば良いか考える。

あの時、佐助さんは変装していて姿を見せていない。
私は知らない事になっている。

「…秘すれば花」


明らかに動揺していた私に優しく言葉を紡ぐ。

「風姿花伝」

彼は私の頬を掌で包む。

「秘すれば花なり…」

大丈夫と言うように囁く。



秘する花を知ること。
秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず、となり。
この分け目を知ること、肝要の花なり。


「つまり…秘密にすることが人を魅了する花につながる。それを知る事」

"秘密にすれば人を惹きつけられる。秘密にしないと惹きつけられない"

「この分け目を知るのが、人を惹きつけることにおいて重要だ」


卿の場合は秘密にしなくても惹き付けてしまうが、と愉しそうに話す。
勿論アホな私には容量が足りなくて、彼が何を言ったのか理解が出来なかったのは内緒だが。


「別れの刻が来たようだ」


そう言って私に手を差し延べて立たせる。

そのまま廊下へ出て外へ行くと良く知る気配を感じた。


「!!」

信じられない…。これって、嘘だよね…。

「これで実証された。あの男も卿に囚われし者」

傾国の花よ

「迷いし時は私を頼ると良い」


直ぐに風魔を寄こす。

「手を…」

そう言われ手を差し出すと何かを握らされた。

「時間だ」

その瞬間に私の頬を両手で包み触れるか、触れないかの口付けをする。

「!!」

彼は風魔、と言い私は風魔小太郎に抱き抱えられ天守閣から下へと落ちる。


「弾正さんっ!!」

私は彼の名前を叫ぶと、それに答えるように微笑んだ。



遣らずの雨。



それでも私はあの人の元へ…
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