第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
【参拾参】
「…………………」
ヤバイよヤバいよヤバいよ…っ!
金吾がまだ何か言っているようだが、私の耳には届く事は無い。
だって、居るんですもの。
この人が。
「フフフ…私がどうかしましたか?」
名前さん…。
ゾワリ…。
あぁ、鳥肌がっ!
私はこの人が物凄く苦手だ。
勿論顔は充分お綺麗なんだけど、画面の中での彼のあのニヤリとした笑みが…。
うわぁ、無理や…。
言ってる側から鳥肌が…っ!
生理的に受け付けないって言うのはこう言う事なのだと肌で感じた。
「好き嫌いはありますか?沢山ありますので遠慮なくどうぞ」
そう言ったあけ…ゲフォっ…天海様は良く味が染みた大根やら白菜などを私の器に入れていく。
此処にもオカンがいるよー。
「あ、ありがとうございます、頂きます…」
そんなよそうとかお気遣いなんて要らないのに、私の手はどんどんと野菜をかっ込み、休むことを知らない。
あぁ…美味しいよ、金吾…。
手懐けに来たのに、逆に手懐けられてしまったではないか。
胃袋を掴むって、凄い事なのね。
「フフっ…女性ながら見事な食べっぷりですねぇ…作りがいがあります」
ね、金吾さん。
あ、その笑顔は可愛いかも。
って、何思ってるのよ!
次いで顔も赤くなるな!私っ!
コホン、と一つ咳払いをし、私は二人の顔を見る。
「初対面で何か、すみません…」
殆ど私が食べてしまってと申し訳なく言うと金吾はニカっと笑いそんな事ないよと言った。
因みに鍋は金吾が背負っているヤツ位デカイ。
「こうして一緒にご飯もしたし、もう僕達は友達だよ!」
ね!天海様もそうだよね!
金吾、良い子だなぁ…。
だけど直ぐに天海様に振るのは頂けない。
私がコワいのよ…っ!
「えぇ、よろしくお願いします…ね」
ニヤリ。
ぎゃぁぁぁっっッッ!!!