第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
【参拾弐】
「キミ、名前さんって言うんだ!」
どうしてこうなった…!
あの時飛び出して来たのは鍋…では無く、その正体はコレだった。
「ボクは小早川秀秋!金吾って呼ばれてるんだ!」
確かに食べ物転がって来ないかなぁとか思ってたよ!てか秀秋でも、金吾でもどっちでも良いよ!
「は、はぁ…」
実は私が目的としていた人物だったりもする。
話を聞くと、あの毛利元就様から逃げていた所と言う。
良いのか悪いのか良く分からないけど、何て言うタイミング何でしょうか。
本当は彼を通して金吾と会う予定だった。だけど、彼に会う覚悟も勇気も無かった。
だって、私も彼から逃げたのだから。
そんな心境とは知らず、私の目の前の人物は鍋をつつきながらよく喋る。
「あぁ、でも名前さんには秀秋って呼ばれたいな!」
しかし、まさかの本人登場にはかなり驚いた。
あの彼ではなくて良かったんだけど。
って、あれ?
私は安芸に向かっていた筈よね…?
金吾の所はその手前だから…。
げ、まだまだじゃん!
自分で徒歩でとか言ったけどさ、無理だよ死んじゃうよ。県越えとかさ、心が折れる前に足が折れちゃいそうよ。
「は、はぁ…秀秋…くん?」
あと、驚いていると言うより、本当に私には理解が出来ない事がもう一つ。
「あー!それ良いねっ!何か新鮮な感じがするよ!」
どうしてかな…?
「ね!天海様!」
彼も一緒に金吾の鍋をつついているのかがマジで意味不明だった。
てか、金吾、うるせぇ…。
「おや、食べないのですか?箸が止まっていますよ」
ヒィィィィっ!
どうしてこうなったぁぁぁぁぁぁっっっッ!!