第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
【弐拾陸】
「おのれっ!!家康!」
許さない、許さない、許さない!!!
よくも、私の全てであった秀吉様と半兵衛様をっっ!!
「許さんぞ、家康…必ずやその頭を切り落とし…」
秀吉様と半兵衛様に捧げ、あの世で許しを乞うと良い…っ!
気を失ってから目が覚めると、私は狂った様に刀を振り回しては手当り次第切りつける。
それに巻き込まれた人間などが居ることにも気付かないまま、家康と名前の名前を叫び続けた。
「名前っ!名前っ!何故だっ!」
何故、裏切った…っ!
家康と#名前#に裏切られたと言う怒りの矛先は絶対を置ける人物にまで向けてしまう。
「刑部っ!左近はまだ帰らんのか!」
左近は私が気を失っている間に、この大坂城を飛び出したきり帰って来ないと言う。
まさか、左近の奴まで私を裏切るつもりなのか…。
未だ帰らぬ左近を待ちわび、私は切っ先を刑部に向けた。
「やれ、落ち着きやれ」
刑部は私に何度も左近も名前も裏切ってはいないと説得するも、では何故私の側に居ないのかと、私は刑部の言葉でも信じる事が出来ずにいた。
「何故、私を裏切った…っ!家康!名前っ!」
そう叫び、刀を振り回そうとした時だ。
城の外から耳障りな足音と、刑部を呼ぶ左近の声が聞こえた。
「刑部さんっ!遅くなりましたっ!」
乱雑に戸を開け刑部に向かって左近が叫ぶ。
「やれ、待ちくたびれて御神体になるかと…」
溜息と共に、刑部の訳の解らない冗談に左近は後で幾らでも付き合いますからと苦笑いをしながら叫ぶ。
私に隠れて何か企んでいるに違いない。
「左近!貴様は何処で道草を…っ!」
私が左近に向かってそう叫んだ刹那、頭に衝撃が走り、私は何時かと同じ暗闇へと堕ちた。