第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
【弐拾肆】
~真田幸村~
気付くと何時もキミの姿を探していた。
キミの瞳を覗き込むと恋焦がれたボクが映っている。
だけど、本当のキミはボクを見ては居なかった。
夢の中のキミに、恋をしていただけ。
淡い夢、心秘めて。
某は共に甘味を食そうと名前殿と佐助を探して居た。
ふと視線を外すと気付いたら外は雨。
そんな中、佐助が独り佇んで居るのを見付け、某は雨も気にせず庭に降り立ち佐助の元へと向かった。
「佐助、そんな所で何をして…」
何をしているのだ、風邪を引くぞ。
そう言おうとしたのだ。
某に気付き、振り向いた佐助があまりにも切なく、この雨の様に今にも泣きそうな表情を向けた為に、何も言えなくなってしまった。
俺は、気付いたのだ。
己の名前殿に対する想いを知った時、佐助の気持ちも…。
初めて名前殿とお逢いした時は、突然であったが為に俺は逃げてしまった。
そして後に名前殿に逢う度、すれ違う度、同じ空間にいるのだと思う度に、名前殿に恋焦がれて行った。
だが、俺が名前殿に触れても、見つめていても、俺と名前殿の視線は交わる事はなかった。
だから俺は、せめて夢の中だけでも良いから#名前#殿と添い遂げたい、そう思うようになった。
そして、佐助だ。
佐助は気付いていた筈なのだ。
だが、佐助は俺のためにその想いを封じてしまっていたのだろう。
佐助も忍の前にただの人間で、人を愛したって別に可笑しくはない。
もっと自分らしくしても良かったのだ…。
俺が佐助にそう言えば、きっとこれが俺様らしい、そう言うに違いない。
そんな事を考えていると佐助は再び空を見上げ俺にこう呟いた。
「ごめん、旦那…俺様さ、名前ちゃんが好きだったよ…」
あぁ…。
知っていた…。
「今は、泣け」
この雨がお前の流れる物を隠してくれるから…。