第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
「後でアレの主には断りを入れとけよ」
う、うん…解らないけど、解ったよ。
でも、その前に…。
「いひゃいよ、ひゃこん…」
痛いよ、左近。
「何言ってんの、消毒だ、消毒!」
そう言って私の着物の袖で唇をゴシゴシと拭って行く。
「これで良しっと」
良くねーよ!
ヒリヒリと痛む唇を押さえながら何で左近がこんな所にいるの、と私がそう尋ねると左近はプッと吹き出して渡したい物があったからと言う。
てか、吹き出さないでよね!
「あぁ…もう、大丈夫だと思ったから…」
そう言った左近は持っていた包を寄こし、私はそれを丁寧に解いてみる。
「!!」
私は驚いて左近を見ると少しだけ困ったように微笑んだ。
「あの時、殆ど奴にやられてそれだけしか残らなかったんだ」
名前が持っていなよ。
左近はソレを優しく掬い上げ、私の掌に載せた。
「っ、…まだ、大丈夫じゃない…」
大丈夫な訳、ないじゃない…。
だけど、だけどっ!!
「っ、わ、わたしっ!」
もう、泣くのは今日でお終いにしよう。
全てを悟った左近はそっと私の頭に手を置いた。
それが余りにも優しくて、止まるはずの涙が絶えず零れてしまったのは仕方無い。
ねぇ、
私は、
「半兵衛、様…」
私はソレをぎゅっと抱きしめ、改めて覚悟を決めた。