第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
【拾捌】
" 火傷の跡がない "
あの時もそうだった。
アイツに三成様諸共蹴られた時だ。
「名前っ!!」
私の声が聞こえるかッ!!
三成様の声が近い様で、遠く聞こえる。
痛い…。
口から血が滴り、手は震える。肋は殆ど折れ、内臓なんてあった物じゃない。
辛うじて心臓だけが無事だった。
だけど、次第にこの心臓も止まり、死ぬのかと。
私を庇ってくれた三成様を横目にし、ごめんなさい…また、独りにしてしまってと何度も謝った。
「名前っ!名前っ!!」
あぁ、私の名前…呼ばれるだけでこんなにも、幸せに思えるなんて、私はとことん安上がりな女ね。
死ぬ間際だと言うのに、なに考えているのかしら…。
半兵衛様、私も其方に行って良いですか?
ちゃんと其方に行けるのなら、貴方や秀吉様にもう一度、会いたいです。
そして、今まで私が出会った皆の事を思いながら目を閉じて心の中でおやすみなさいと呟いた。
その刹那。
" 名前… "
そう聞こえたと思ったら私の身体中に熱が駆け巡った。
そして、私の損傷した部分を物凄い速さで修復して行く。
折れた骨は瞬時にくっつき、内臓は全て元の位置に。体液、血液、血管と繋がるものは全て繋がった。
私の名前を呼ぶ声は何処か懐かしい暖かい声だった。
ねぇ…
アナタハ、ダァレ…?