第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
【拾伍】
早く、名前殿に逢いたい…。
「真田様、おはようございます」
これから、お出掛けでございましょうか?
城に着いた丁度に向こうから逢いたいと思っていた人物が某の元へ小走りでやって来た。
そして、そんな名前殿の姿を見た某は驚き言葉に詰まってしまった。
暫く無言のままでいると、名前殿は首を傾げて心配そうに某を覗き込み言葉を紡いだ。
「如何なさいましたか?」
その言葉をきっかけに、某はやっと言葉が出たのだが、上手く言葉が見付からなかった。
「あ、あぁ…何でも無いでござるよ。それよりも…」
某の視線を名前殿の髪に向けると、 それに気付いた名前殿は髪をつまみ某に困った様に微笑んだ。
「あ、これでしょうか?」
髪が中途半端に伸びて鬱陶しかったので、切りました。
「猿飛殿は何でもお出来になられますね」
流石でございます。
そう名前殿は言った。
某も佐助が褒められるのはとても嬉しく思う。
だが…。
「そ、そうでござったか…」
とても…お似合いでござるよ。
某は胸に手を置き、しまっておいた結紐の包を握り潰した。
「あー、名前ちゃん…実はさ…」