第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
城へと戻ると名前ちゃんが縁側でお茶をして居るのを見付けた。
「はい、名前ちゃんへお土産」
背後からそっと団子の包を名前ちゃんの目の前に差し出した瞬間、彼女の得物の先が俺様の喉に鋭く向けられた。
「…お団子に罪はない」
そう言った名前ちゃんは団子の包を受け取る。
受け取ってくれたのは嬉しいのだが、その切っ先は早くしまって欲しいと切実に思った。
「うむ、美味いでござる!」
お茶を入れ直して再び縁側で団子を頬張る。一本食べる毎に旦那の真似をする名前ちゃん。
上手く旦那の特徴を掴み、そして彼女の笑顔が可愛く、つい俺様の頬も緩んでしまう。
「ねぇ、猿飛佐助。ちょっと頼まれてくれない?」
そう言った名前ちゃん。
「え…、俺様が…?」
笑顔で頷く。
「だって、アンタ器用そうじゃない?」
武田のオカンでしょ?
そう言った名前ちゃんを見るともの凄く笑顔だった。
ちくしょー。やっぱり可愛いじゃないか。
芽生えかけた殺意がその笑顔により相殺されてしまったのはやはり仕方の無い事。
あー、でもなぁ…。
「はい。これね」
って、どっから持って来たの、ソレは…。
綺麗に磨き上げられた俺様のクナイ。
可笑しいなぁ…ちゃんと管理していた筈なのだけれど…。
「はぁ、…解ったよ」
旦那、ごめん。