第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
【拾肆】
今朝の事だ。
何時もの鍛錬が終わった後、湯浴みを終えた旦那は新しい装束を纏うかと思えば、身に纏ったのは控えめな紅の袴だった。そして辺りを見渡し城から抜け出した。
勿論俺様に内緒で。
昨日の名前ちゃんの仕草で旦那が何をするか解った俺様はそれを見逃す。
まぁ、旦那の初めての事だからね。暖かく見守りましょうか。
城下に着いた旦那は普段なら真っ先に甘味処へ行くのだけど、今日はその途中にある小間物屋へと足を運んだ。
女将にからかわれながらも良い品を手にした旦那は嬉しそうに小間物屋から逃げた。
まぁ…旦那にしては上出来な方だ。
木の上から旦那を見ていると何時もの様にお館様と叫ぶ。
思わず俺様は恥ずかしいと呟いてしまったのは仕方の無い事だ。
まぁ、買ったのは良いけど、果たして旦那は名前ちゃんに渡せるのかが心配。
まぁ、これも見守りますかね。
そして、俺様は旦那より一足早く城へと戻った。