第4章 ~くるり、くるりと悠久の輪廻~
お似合いだと言って直ぐに俺は名前殿の元から離れた。
その時、俺の胸の中に霞みがかった様になり、息が出来なくなった。
とにかくその時は名前殿と一緒に居るのが辛かった…。
「………」
くしゃりと潰れ、歪になった名前殿への贈り物。
目を閉じると髪が短くなった彼女が浮かび上がる。
もう…
これは…
「不必要でごさるな…」
そう呟きながら手のひらに力を込めた。
「だめっっ!!」
その時だ。
俺の部屋の戸が大きな音を立てながら開き、そこから飛び込んで来たのは名前殿であった。
「っ!!名前殿!?」
「ッあっ!!」
「な、名前殿!!」
俺の手元で焔に包まれたソレに飛びかかる。
勿論、己のバサラなので俺は熱くない。
だけど、彼女にはそのまま炎の熱さが伝わってしまった。
「ごめんなさいっ!!気付いてあげられなくて!!」
綺麗の翡翠の瞳から真珠の様な涙が溢れる。
「良いのだっ!!」
それよりも手を見せよっ!!
言葉使いが何時もより荒くなるが今はそんな事はどうでも良い。
「何をしておるのだ!!」
隠そうとする名前殿の手を無理矢理掴む。
だが、彼女は首を横に振り抵抗をする。
「私の手よりもっ!!」
幸村様の御心の方が大事にございます!!!
「っ…!!」
あぁ…
貴女と言う人は…。