第1章 ふわり、ふわりと夢、うつつ
「元就さま、本当においしいですね、このおしゃけ」
あれから名前は呑み続け、机の上には空いた徳利が綺麗に並んでいた。
酔いが回って来たのだろうか、名前の呂律が回らなくなって来た事に気付く。
「呑み過ぎではないか」
阿呆と言い、呆れる。
酒は良い思い出がなく名前を心配し、声をかけたのだが、名前はわたしはザルじゃなくて、枠なんです、と良く分からない事を述べる。
「それに…はしたないではないか」
何度も座る体制を変えていた為、着物の裾が少し捲れて素足が覗いていた。
「あーっ!元就さま見て下さい!」
はしたないと注意すると同時に、名前が大きな声で叫び立ち上がると我の前に立ち塞がる。
「先程わたしをこの部屋に追いやった時コレです!」
事もあろうか、名前は着物の裾を両の手で掴み、そのまま太腿まで持ち上げた。
持ち上げた…だと?
「!?ば、こ、この馬鹿ものがっ!!」
我は両の手で自分の目を塞ぐが名前は見ろと言い我の手を外しに掛かる。
一瞬だったが、名前の素足は白く絹の様であった。
名前の普段隠れて居る場所が露になり、なおかつそれが愛しき人物となれば流石の我でも理性が持たぬ。
我は名前が愛しい。
この事は皆が知っておる。
知らぬは本人のみよ…。